「どうして、お父さんと別れたの?」 『……ショーチャン、お酒飲むとわからなくなっちゃうところがあるよね』 マユミサンの表情はぼやけていた。滲んで、霞んで、よくわからなかった。 フロントガラスいっぱいの、アケビ色が、眩しかった。 それが、マユミサンと最後に交わした会話だった。 じゅくじゅくいっている、グラタンの表面に、ぽたぽた落ちる。 塩、少なめにしておけばよかった。 でも、もう、遅いよね。