祓魔(ふつま)一族の中でも五本の指に入るほど強力な術師でもある。

 澄八は琴禰の頭に積もった塵を手で一生懸命払った。

「ああ、そんなことをしたら手が汚れてしまいます!」

 琴禰は慌てて澄八から離れようとするが、澄八は一向に気にすることなく笑いながら塵を払った。

「俺の手よりも、自分の頭を気にしなさい。もういい歳なのだから」

「はい、すみません……」

 たしかに頭に塵が積もったままではいけないだろう。どうでもいいやと放っておいたが、澄八に指摘されて反省する。

「どうしてこんなことになった」

 澄八に言われて、桃子の顔が浮かんだけれど口を噤んだ。代わりに間の抜けた返事をする。

「ぼうっとしておりましたゆえ」

「本当にお前ってやつは……」

 澄八は呆れたように苦笑いを浮かべる。

 桃子の言う通り、琴禰はなにをやらせても上手にできない。祓魔一族の元に生まれてきたのに、術力がまったくない無能だった。