「今度はお前が苦しめ」

 羽間がそう呟くと、口から血を吐き出した。

 何度も咳き込み苦しんだかと思ったら、一度大きく体が跳ねた後、そのまま動かなくなった。

「羽間……?」

 わたしは羽間を呼んだけど、反応がない。

 恐る恐る近付いて羽間の手首を取るが、何も感じない。

「終わったの? わたし、生き残ったんだ……」

 羽間の腕を離してその場に座り込んだ。

 制服が血で汚れていくが、どうでも良かった。

 もう殺される心配はない、わたしだけが生き残ったんだから。

『今度はお前が苦しめ』

 羽間の最期の言葉はいったい何だったんだろう?

 殺されることも無くなったのだから、苦しむことなんて何もないはず……。