「ただいま」

「明良、無事なの⁉︎」

 わたしが玄関で靴を脱いでいると、母が走って来た。

「さっき犬飼刑事さんから、連絡があったの。事件に巻き込まれたって聞いたけど、大丈夫なの⁉︎」

「うん、わたしは平気だよ」

「そう。良かった……」

 母さんはそう言って胸を撫で下ろした。

 ここ最近の相次ぐ事件のせいで心労が溜まっているのか、顔色が悪く疲れも見える。

 関係のない母さんを巻き込んでいて、申し訳なくなり聞こえるか聞こえないかの小さな声で、

「ごめんなさい」と呟いた。

 一刻も早く、この状況をなんとかしないといけない。

 そう考えてはいるが、どうしていいのか検討もつかない。

 これがデスゲームならば、植本、中川、羽間の三人の中にルールに則り人殺しをしている奴がいる。

 そいつを止めないと、この殺人は終わらない。

 『殺人者』が分かったとして、わたしはどうすればいいのだろう?