もっと桜に依存されたいのに……全然、落ちてくれない。



そんな心境の中、屋敷に着いた。


「「「おかえりなさいませ坊っちゃん」」」



十数名のベテランのメイドや執事に迎えられる。


「ひ、広い……」

「でしょ?ほら三上なんかとは比べものにならない。行くよ」

「う、うん」


桜の小さな手を握りしめる。……前よりふわふわになってる。

最近体重も増えてきたようだし、よかったな。


屋敷の中に入る。
スリッパに履き替えて、長い廊下を歩き始めた。


実家に帰ってくるのは久しぶりだ。


「……桜?」


桜の表情が凍りついていることに気がつく。


「大丈夫?」

「う、うん……ごめんね、もし嫌われたりして、蓮くんと一緒にいられなくなったりしたらどうしようって……」

「あら?そんなこと気にしてたの?」

「えっ?」


部屋から出てきて現れた母さんと父さん。

相変わらず歳取らないなこの親たち……。


「さーくーらーちゃーん!」

「わっ……!?」


走ってきた母さんは桜にべったり抱きつくので、ベリッと剥がした。


「やめてくれ母さん桜が困ってるだろ」

「あらごめんなさい!桜ちゃんが可愛いからー!!」

「さ、さすが蓮くんのご両親……顔面偏差値が桁違いすぎるっ……」


カクカクしながら僕の方を見てきた桜もたまらなく愛おしくて頭を撫でた。


「あらあら、蓮ちゃんのそんな顔見たことないわ私。本当桜ちゃんってすごいのね」

「えっ……!いやいやそんな!」

「さぁさぁ中へ入って!チョコレートケーキを用意してあるの!」

「ちょ、チョコレートケーキ……!?」

「ええ、桜ちゃんが好きって聞いて、お父さんと用意したのよ!」

「そ、そんな……!ありがとうございます!」



ぺこぺこととっても嬉しそうに頭を下げた桜。

本当、大袈裟だなぁ。