「ひ、日向、、、?」


前より少し痩せ細っているように見えるが、その大きな目と丸い顔は、紛れもなく5年前の日向そのものだった。


いつ此処に戻ってきたのだろうか。


俺は呆然と立ち尽くす。


「、、、な、、、世凪!!なにぼーっとしてんの?早く行くよ!」


そう言って美玲は俺を引っ張ろうとした。


ああ、コイツの存在を忘れていた。


でも今はコイツなんてどうでもいい。


「日向、、、お前、日向、、、なのか、、、?」


「誰ですか??」


彼女は俺を不審者を見るような目で見つめた。


そうだ、彼女は俺のせいで記憶喪失になってしまったんだった。


突然のことで忘れていた。


そして俺は、彼女とは関わってはいけないんだ。


「ごめんねぇ〜人違いだった、じゃあバイバーイ」


「は、はい」


まぁとりあえずやり過ごせた、、、か、、、?


これからはあの道は通らないようにしよう。


彼女が見えなくなった途端、俺は座り込んだ。


まだ、緊張しているのか、心臓がドキドキ動いている。


うるさい!


俺はもうアイツのことなんて忘れたんだ。


もう、赤の他人、、、


俺は、彼女の足についたアザを思い出した。


「虐待??」


そんなわけないか


彼女は誰かに嫌われるような性格じゃない。


誰でも優しく接して、誰にでも笑顔を向けて、、、


だめだ、今日は何をしても彼女のことを思い出してしまうような気がする。


もう5年もたったのに、まだ忘れられていなかったのか。


「ごめん美玲、ちょっと従兄弟に似てて
 じゃあ俺の家行こっか♡」


「うん♡」


そして俺は美玲に熱烈なキスをした。


日向を忘れられますようにと、願いながら。