腹黒王子とめぐるの耽溺日誌

「っく、この……っ!開け!!開けってば!!」


ガンッガンッ!とドアを懸命に開けようとしても、音が鳴るだけで開く気配はない。
立て付けが悪いドアならまだしも、ここのドアは比較的新しく出来ていて、私がどれだけ乱暴に叩いたり押しても、ビクともしない。


「誰か!!助けて!!!ここを開けて!!!」


何度もドアを叩いて必死に叫ぶも、辺りは私の虚しい声が響くばかりだ。

五分以上ドアを叩いていたけど、なんの変化も見られない。
徐々に私の中で諦めの感情が肥大化していくのが分かる。

多分、私は殴られたりして病院送りとかにされるんだろう。

なら抵抗しない方が、まだ軽く済むのかな。

どうやったらマシな結末になるかを考える。


人間は極限状態になると現実逃避をするって言うけど、どうやら本当の事らしい。


ボーっと教室の真ん中で考え込む。

殴られる時は振り子のように身体を振った方が良いんだっけ。
衝撃を受け流した方が良いとか聞いたことある。

ガチャリ、と扉の鍵が開く音がした。

まだ考えてる途中なのに、もう来たのかな?

バットはやめて欲しいなぁ、最初に気絶しておきたい……


ドアがガラガラっと開く音が聞こえて、ゆっくりとドアの方に視線を投げた。