「死なない程度にやれよ、流石に殺しちまったらムショ行きは避けられねぇ」
早く早く早く。
「バットも持ってこい。反抗しない程度に痛めつけたら後はてめぇらの好きにしろ」
(駄目だ…!なにも思いつかない……)
心臓がドクドクと脈打つ。
視界がぼやけて、今までの思い出が走馬灯のように駆け巡ってきた。
あぁ……谷口先生はちゃんと言ってたじゃないか、佐君原と行動した方が良いって…
なんで私は実害があったって言うのに、一人で自販機になんか行ったりしたんだろう。
佐原君とさえ居れば、こいつはこんな事出来なかったはずなのに。
全部後の祭りだ。
いっそ窓から飛び降りた方が酷い目に合わなくて済むんじゃないか。
そんな思考が頭を駆け巡っていた。
「……あ?"谷口"が呼んでる?無視しとけよ、クソ教師の話なんざ……あ?生徒会の……?」
呆然としている私の横で、男は眉をひそめ、忌々しく舌打ちした。
谷口先生がどうしたと言うんだろう。


