腹黒王子とめぐるの耽溺日誌

「俺だって女をボコすのは趣味じゃねぇよ…でもなぁ、割に合いすぎるんだよな。言いてぇこと分かんだろ?」


「……え、?」


「てめぇみたいななんでもない女を半殺しにしただけで、俺は夢みたいな大金を手に入れる事が出来んだ。だから、仕方ねぇよな」



男は冷静に、そう自分に言い聞かせるように言った。
上の階に連れて行かれ辺りは静まり返っている。

別棟の多目的室に着き、鍵を片手で器用に開けると、乱雑に私を床に放り投げた。



「うぐっ!!」


「大人しく待っとけ。騒いだらぶっ殺すからな」


そう言って、男は携帯で誰かに電話をかけているようだった。

嫌な汗がダラダラと全身を流れていく。

落ち着け、落ち着け。
こんな時こそ冷静に状況を見るんだ。

周りを見渡して見ても、山積みにされた机やなんの役にも立たなさそうな物ばかりある。

窓から脱出も考えたが、ここは4階だ。
どんなに運が良くても骨折は避けられないだろうし、場合によっては死ぬ危険性まである。

そもそも彼は私になにをしようとしてるんだ?

"ボコす"とか"半殺し"って単語を聞くに、私を暴行しようとしているのは間違いないが、一体目的はなんだと言うんだ。



「あぁ、俺だ……例の女を"いつもの場所"に持ってきた。一年の馬鹿共を何人か連れてこい」


早く、なにか考えなきゃ。