学校に行きたくないと思った。
熱が下がってからもずっとそう考えていた。


小さい頃は小児喘息でよく学校を休んでいたから、ベッドの上で1人でいる感覚は慣れっこ。
明日は学校に行きたいなあと、いつも思っていた。


学校に行きたくないなんて、久々。
すごく、気持ち悪い感覚だった。


熱が下がった次の日、お見舞いに来てくれた。
お母さんが通してもいい?と聞いてくれたから、私はうんと頷いた。


実里が来てくれたんだと思ってた。
だから、朦朧とした頭でも会いたい、と思って頷いた。


けど、違った。


「茉白、調子どう?」


目の前には綺音がいた。

な、んで?

慌ててボサボサの髪と少しクマの残る顔を隠すみたいにして布団を引っ張り上げると、高鳴る鼓動を無視して、綺音をじっと見つめた。


「ど、して」
「心配だったから」
「……」
「体調崩すの、珍しくない?」
「……うん」


綺音はそう言ってカバンからいちごミルクのパックとコーヒー牛乳のペットボトルを出した。