ドスンと、重い段ボールを準備室の机の上に置く。
隣で私の3倍くらい重いであろう荷物を机に置いた男子。


クラスの男の子。山田くん。
先生のお願いにイエスマンしたところまでは良かった。
けれど、どうして先生はこんなに重いのを私1人で持てると思ったのかは甚だ疑問だった。
荷物を目の前に困っていた私の横を通り過ぎようとしたのが山田くんだった。
あの、と小さく発した声に振り返ってくれた山田くんは快く一緒に荷物を運ぶことを承諾してくれた。


「ありがとう。重かったよね」
「いやいやいや!全然!秋野さんが1人で持つことになってたら大変だったよね!」
「ほんとに助かったよ〜。私1人だったら、何往復してたんだろ」


そして、いつになったら帰れるんだろう、と嫌気がさしていたと思う。
やっぱり佐伯先生は好きじゃないな、と数学準備室を見渡しつつ考える。


「ホコリっぽいね」
「ホントだよね、絶対あんまり出入りしてないでしょ」


赤くなった手をさすりながら、私は山田くんを見上げた。
ぱちっと目が合う。
……逸らされた。


「出よっか!」
「あ、うん。出ようか」


ギィィィ


「わっ」
「お、」