5分間だけの独占じゃもう足りない

「ふぁぁ……」

ついには、あくびまで出てきてしまう。

仕方ない、いつも通り空き教室でお昼寝しよう……そう思って、私が席を立ち上がると誰かに袖を引っ張られた。


「莉良……どこ行くの……?」


さっきまで寝ていたはずの藍人が私の方を見ながら、目を擦《こす》っている。


「えっと……空き教室で、お昼寝しようと……」


「俺も一緒に行く」


藍人は当たり前のようにそう言った。

私がお昼寝をするために空き教室に行く時は、必ず藍人もついて来たがる。

「藍人、本当に今日も一緒に来るの……?」

「だって、あの教室の方が日差しが気持ち良いし」

「はぁ……分かったよ。じゃあ、ほら、早く起きて一緒に行こう?」

お昼寝の時間は、少しでも長い方が嬉しい。

私達は、教室を急足で出て行く。