「ありがと、実麻」

私は実麻の耳元に近づき、小声で話す。


「藍人と一緒にいるのは嫌じゃないけど……けど……なんか悔しい……」


ああ、きっと私の顔は今真っ赤だ。

実麻が私の顔を見て、クスッと笑った。

「相変わらず可愛いなぁ、莉良は。認めたくなるまで、ゆっくり待てばいいんだよ。少なくとも、私はそれでいいと思う」

「ほんと……?」

「うん。なんでも、莉良のペースでいいの」

「実麻ー!大好き!」

「あはは、私に素直になってどうするの」

今日も昼休みは当たり前にやって来る。

それでも、今日はいつもより少しだけ素直になれる気がした。