幸せの欠片たち。

「もう、泣かせたら…許さないんだから」

「うん」

「次はないからね?」

「うん」

「…ばか。でも、すっごく好きなんだからね!」

「ははっ。ありがとな。やっぱり美南から『好き』だって言われるのすげぇ嬉しい。なぁ…?もう一回言って?」

「んー!もう駄目!昔みたいに『好き』は安売りしないことにしたの!」


と、いやいやをすると、チョコよりも甘く蕩けた笑顔で、かぷり、と鼻を食まれた。


「?!」

「可愛いのな、ほんと…お前は」

「うう…えいちゃんは意地悪だ…」

「違うよ。お前のことが好きなだけ。なんで、会えなかった四年で、こんなに綺麗になってんの?ほんと、心配し過ぎて…胃に穴開きそう…」

「ばか!もう…そういうのいいってば!」


食まれた鼻を手で押さえて、私はわたわたと体を動かそうとするのだけれど、彼の腕の中にいる私には、そんなことが出来るはずもなく…。


「なー?告白ってさ…勇気いるじゃん?それを伝え続けてくれて…その他に、『あぁ、幸せの欠片を貰ってんなぁ』ってずっと思ってた。だから、俺からの『幸せの欠片』、これから俺の傍で受け止めてて?」

「…えい、ちゃ…ん」

「何時か、必ず…好きよりももっと最上級の言葉を美南に言うから。だからその時まで、"ココ"を誰にもやらないで?」


するり、と左手を絡め取られ、そのまま薬指にキスをされた。


私は、ぶんぶんと首を縦に振って、彼にまた抱き付いた。


もう、これ以上の幸せの欠片なんて、ないのに。
彼は…えいちゃんは、過去から逃げてしまった私のことを丸ごと空きだと、必要だと言ってくれた。


だから、私ももう一度、勇気を出そう…。


「あ、あのね?えいちゃん…ちょっと待っててくれる?」

「んー?今は離れたくない」

「ちょ、分かったってば!後で幾らでも抱き締めてもらうから!一回離してー!」

「お。それ、言質取ったからな?」


にやにやする彼から背を向けて、私はボストンバッグから、箱を取り出した。
そして、ちゃんと姿勢を正してから、彼の方に向き直る。


「えいちゃん…ちょっと早いけど…す、好きだよ?これからもずっといっしょ、って、わぁ!」