幸せの欠片たち。

と、暫く昔話に花を咲かせていると、頭を撫でたりしていた彼の手が、突然すりっと私の頬に触れてくる。


「美南…四年間、長かったな」

「え、あ、う、うん?」

「その間…バレンタインのチョコをありがとな」

「っ!…いや、あの…、」


いきなり、核心に迫ったような展開に、ごくりと息を飲む。


「美南からのチョコ、毎年嬉しかったんだ。けど……。何かが足らないって、ずっと思ってた」

「え…」


じっと見つめてくる、彼から目を逸らすことが出来ない。
でも、本能がこれ以上は聞いてはならないと、警報を鳴らしている。 

胸にある、あの頃の棘が刺さったままの傷が、またじゅわり、と痛みの熱をぶり返しそうだ。


「えーと、チョコ喜んで貰えて良かった〜」


アレでも、結構悩んだんだよ?


と、話題を変えようとするけれど。
彼の瞳の中に映る私が、彼がくれるであろう次の言葉に期待していることがはっきりと出ていて…私はその言葉を言うことを止めてしまっていた。


「あのさ、美南…、俺のこと、もう好きじゃなくなった?」

「…っ!」

「毎年…この四年間くれたチョコには、何時も『ありがとう』しかなくて…すげぇへこんだ」


なんで…。
どうして、今更そんなことを私に言うの?


だって。
…だって。


「迷惑、だったんじゃ、ないの?」

「…は…っ?なんで、」


そんなことを言うんだと言いたげな彼から、漸く視線を逸すことが出来た。


「だって、高校の時……聞いちゃったんだもん」


「高校ん時って、お前……ぁ…」


そこまで言うと、幾つか思い当たる節があったのか、視線の端の方で頭をガシガシと、乱暴に掻き乱す彼が目に入った。