幸せの欠片たち。

それから、食事を食べ終えた後、テレビをなんとなく付けると、そこは新しく始まったドラマや、連日続いているニュースや、特番などが所狭しとひしめき合っていて、チャンネルをぽちぽちと変えては、あまり気になるものがなくて、結局消してしまう。


頭の中に…さっきの彼が発した言葉が、耳にこびり付いて離れない。


『ずっとこっちにいるのか…?』


ねぇ?
えいちゃん。
それって、どういう意味なの?
やっぱり私は何時までも貴方の迷惑でしかないですか…?


肩より少し伸ばしたストレートの髪を、整えた指先でかしかしと乱して、深い溜息を吐いた。


何時も、私の心は彼で埋め尽くされていて、どんな時でも…私の気持ちを掻き乱す人…。


狡くて、それでも、…やっぱり愛しい人なんだ…。


なんか、今なら素直に慣れそうな気がする。



そんな事をつらつらと思っていたら、お母さんがキッチンから、ひょっこりと顔を出して来て、私に声を掛けてくる。


「美南〜?誰か来たみたいー。さっきからインターフォン鳴ってるから、出て頂戴〜。お母さん今、洗い物してて手が放せないから」

「…えっ?!あ〜もー!相変わらず、人使い荒いなぁ…」


なんて、ぶつぶつと文句を言いつつ玄関へと向かう。
そして、インターフォンのモニター画面を見て…フリーズした。
勿論、外の大雪に驚いだわけじゃなくて。


「…うっ…そ、でしょー…?」


驚くのにも無理はない。
だってそこには、さっき別れたばかりの彼が映っていたから…。


待って、待って?!

なんで、此処にえいちゃんがいるの?!

さっき別れたばっかじゃん!

えーー?!


そんな、混乱をして数秒。
はっと、こんな寒くて雪の降る日に、そのまま外に居続けさせたら、彼に風邪を引かせてしまう!という結論に至って、私はすぐにドアを開けた。


「ちょっ、えいちゃん?!どうしたのっ?て言うか…そんなトコにいたら風邪引いちゃう!早く中入って!」

「…ん。悪い…けど、すぐ帰るから」


そう言うと、玄関に入ってすぐに石のように固まったまま、口を一文字にきゅっと結んでしまった彼…。
私の知ってる彼は、とても快活な人だったはずなのに、今目の前にいる彼は、何処か思い詰めているようで…まるで、私の記憶の中の彼ではこれっぽっちも、面影がなくなってしまったように思えた。
それが、少しだけ…いや、とても怖かった。