踏み込んだなら、最後。





「か、彼女…とか、できたの?」


「…内緒」



家族だから秘密はナシだよ。
私には聞いてきたくせにズルいよ。

行かないで、いかないで。

どこにも行っちゃやだ。



「…ユキちゃん、下着見えてる」


「っ…!」


「それ、わざと?」



問い詰めるだけじゃなく、物理的にも近づいてシロちゃんの前に立っていた。

じっと見上げてくる彼が、屈み込んだ私の胸元を見て甘く囁いてくる。


咄嗟に隠したけれど、そんな行動すら恥ずかしくなってカァァと熱を持ってゆくカラダ。



「“かぞく”だからって油断してんね」


「ゆ、ゆだん…?」


「……ふっ。そーいうの、もうやめたいんだよ僕」



知らない顔だった。

出会って13年が経つというのに、まったく知らない顔を見せてきた。