響子ちゃんは唇を小さく震わせながら、言葉をゆっくりとつむいだ。
「……私、皆で遊んだ時から、柚のことちょっと気に入らないと思ってたの」
「……うん」
「私が居るのに、私に内緒で、あの元宮と遊んでたから」
「うん」
「でも、それは元宮が気に入らないって言うのもあったけど、それだけじゃない。私ね、柚にあんなふうに言っておきながら、元宮のこと、気になってたの」
「……えっ！？！？」
き、気になってたって、それは異性としてってこと！？
「き、気付かなかった……」
「バレたくなかったもん、私も……転校してきたばっかの、顔が良いだけの変な奴だって私も思ってたから」
「ち、ちなみに……どういう所が……？」
隠し事はしないという言葉に甘えて聞いてみると、少し言いにくそうにしながらもゆっくりと話してくれた。
「……柚以外の所は余裕があって、私のことを恋愛対象として最初から見てないところ……あと、私にも純粋に優しくしてくれた所かな…」
そう話す響子ちゃんの顔はどこかとろけていて、完全に恋をしてる女の子の顔をしていた。
よりにもよってなんで元宮君を……と思わなくもないけど、こればっかりは好きになったんだから仕方ないよね。
「そ、そっか……じゃあ、元宮君に好かれてる私に嫉妬してたってこと？」
「……そう。柚が元宮を完全に拒絶したら、もしかしたら、元宮は私のことをもう少し見てくれるんじゃないかって思ってたの。だから、拒絶しない柚にも段々ストレスが溜まっていって……」
「うっ、うん……」
それを聞いた後だと確かに私のことを嫌になる明確な理由が分かるなぁ…
恋敵だったのかー、私は。そっか、そうかぁ…
