「ぜぇ、ぜぇ……い、意外と時間かかっちゃった…」



駅で色々とお土産を見ているうちに約束の時間のかなりギリギリになってしまっていた。

両手に荷物を抱えたまま、響子ちゃんの家のインターホンを恐る恐る鳴らす。


お馴染みのピンポーンという音が鳴った後に、久しぶりに聞いたように思える声が聞こえてきた。



『はい』


「……アッ、きょ、響子ちゃんであられますか…?」


『……え?柚?』



響子ちゃんは、なぜか私が来ている事を心の底から驚いてるような声を出した。

えっ、響子ちゃん私が来るの知ってたんじゃないの?



「は、はい……もっちーから15時に響子ちゃんの家で待つってメールが……」


『私も望月が15時に来るって聞いてたんだけど…』


「え??もっちー来てないの?」


『だから望月を待ってたら柚が……って、埒が明かない!』



プツンッとインターホン越しの音声が切られると、ドタドタと階段を駆け下りる音が聞こえてきた。


そして勢いよく玄関の扉が開かれ、響子ちゃんを久しぶりに正面から見ることになった。



「おっ、お、おひさし……ブリデス……」


「……柚……」



なんとも言えない空気が漂い始め、早くももっちーを恨むのだった。