流石に玄関前でずっと泣かれると俺の世間体が悪くなるので、響子の部屋に案内して貰った。

相変わらずベソベソしてるが、なにか話したそうなので大人しく話を聞くことにする。



「ふっ……、ゆ、ゆづに、酷いこと言ったの、本音じゃない、の……元宮をちゃんと拒絶してほしいって、言うのはほんと、だけど……」


「うんうん」


「さい、きん、ゆづと話せてなくて…、ていうか、私が自分勝手に妬いてたから…っ、ゆづを、拒絶してて……っ!」



ぶわぁと大きな瞳からまた涙がポロポロと流れ始めた。

慰めると逆効果だって言うのは直近の出来事で分かっているので、ただ頷くだけに留めた。



「それで?妬いてる理由はなんなんだよ」


「……ひっ、ぅっ……も、もとみやのこと、す、好きになっちゃって…、」


「………… 」


「それで、っ、ゆづに、し、嫉妬してたの…っ、自分勝手なのは私なの…っ」



また響子は号泣し始めたが、こっちはそれ所ではない。

今、元宮のこと好きになったって言ってなかったか?

俺の聞き間違いか?なんで元宮のこと好きになるのか意味がわからない。



「……ん?元宮と友達の夏秋が仲良くしてるから嫉妬してたんじゃなくて?」


「それ、もあるけど…、元宮のことを好きになっちゃったからっ、元宮に愛されてるゆづに嫉妬してたの…」


「えぇ……お前、なんで……」



よりにもよって可能性が全く無い所を好きになるかね。

元宮の態度を見てたらワンチャン無いって分かりそうなもんだけど、恋をしたら関係ないもんなのか?

ていうか、元宮のどこが良いのかさっぱり分からん。

百歩譲って言い寄られてる夏秋が流されて好きになるのは分かるとしても、響子は外野同然だし。



「お前、本当趣味悪いな…」


「ぐすっ……死ね……っ」



しみじみと呟くと涙目でギロリと睨まれた。

可愛い所もあると思ったら全然可愛くなくなったな。