「うわ、これひでーな……」


「うーん…もう見慣れたから何とも思わなくなってきたよ」



私の下駄箱の中を初めてちゃんと見たであろう望月君は、嫌悪感で顔を歪ませていた。

今日の下駄箱の内容はと言うと、お菓子のゴミとか、ティッシュとかそういうのが詰め込まれている感じだ。


上履きを濡らされるよりかは全然マシなので、持ってきたビニール袋を広げて、ぽいぽいとその中にゴミを捨てていく。



「お前、変なところで逞しいな…」


「最初はストレスでお腹が痛くなってたけど、慣れるとゴミを捨てれば良いだけって気づいたから」


「そういうもんなのか?」



怪訝そうに私を見つめる望月君。

すると、ふと何かを思い付いたのか「そう言えばさぁ」と言い私に話しかけてきた。



「これって俺達が来る前から仕込んでんだろ?てことは、部活の朝練とかある奴がやってんじゃねーの?」


「あ、言われてみれば…」


「今度部活の朝練行ってる友達に見張っておくよう頼んでやるよ」



なんて至れり尽くせりなんだ。


確かに、誰がやってるか確認するにはその方法が一番手っ取り早いじゃないか。

この地味な嫌がらせが終わるかもしれないと考えると、ちょっとだけ元気になってきた。



「もっちーありがとう……!なんだか希望が見えてきたよ!」


「おぉ……それなら良かったけど、まだ誰か分かると決まった訳じゃねえからな?」


「勿論だよ!もっちーが私のためにそこまでしてくれるってだけで元気になれるから」



私が望月君の目をまっすぐ見てそう伝えると、望月君は少し恥ずかしそうに目線を下にして口元に笑みを浮かべた。