俺様系イケメンは、私にだけ様子がおかしい


「うわ、もう結構人がいるなぁ……」



17時ぐらいに夏祭りをやってる神社の前を通ると、結構な人だかりが既に出来ていた。

正直、様子だけ見て帰ろうかな〜なんて思っていたけど、いざやっているのを見るとちょっと楽しそうなんて思ってしまう。

それに、お祭り特有の焼きそばとか、お好み焼きの匂い!
ここまで来て釣られない人とかいるのかな?



「……ちょ、ちょっとだけ、入ってみるだけだから……」


そう自分に言い訳をしながら人混みの中に入っていくと、早速りんご飴を売ってる屋台が見えた。

め、めちゃくちゃ美味しそう!!



「すいません!りんご飴一つください!!」


「はいよ〜!おっ、お嬢ちゃん、横に居るのは彼氏さんかい?」


「へ?彼氏?」


おじさんがニコニコしながら私に聞いてきた。

なにを言ってるんだろう、私は一人で来たのに。



「……えっ!!??ももももも、もとっ、!」


「そうだよ、おっちゃん。あと、りんご飴二個にしてくんない?」


「はいよー!りんご飴二個ね!」



いや、なんでナチュラルに元宮君がいんの!?

思わず私の横に立つ元宮君に顔を向けると、ツーンとした視線を私に向けてきた。


あ、怒ってますって顔してる。


そりゃそうだよね。気分じゃないとか言っときながらちゃっかり夏祭り来てるんだから。

にしても、一体いつから私に気づいてたんだろう…

元宮君はおじさんからりんご飴二つを受け取ると、ぶっきらぼうにりんご飴を私に渡してくれた。



「あ、ありがとう……も、元宮君も来てたんだね……」


「……ワンチャンお前来てるかなって思ったから。祭りとか好きだろ?」



好きだけどなんで知ってるんだろう。

なんか、元宮君って私に妙に詳しいというか、ちょっと怖いくらい私の好きな物とか知ってる。

なんだろ、私って顔に出やすいのかな?



「う、うん。い、いや〜!それにしてもまさかバッタリ会うなんて!」


「お前、この期に及んで俺から離れて行動するなんて言わないよな?」



フフンとなぜか得意気な顔をしている。

せっかくお祭りで会ったのに、離れて行動するって言うのも冷たい感じするしね……



「負けたよ、元宮君……よし!一緒にお祭り楽しもう!」


「本当か!?よっしゃ!」



珍しく満開の笑顔で喜ぶ元宮君にちょっとときめく。

本当、昔からこういう可愛い笑顔に弱いんだよね〜〜!



あれ?昔から?まぁ、いっか。