むかっ腹が収まらない俺とは正反対に、柚月は冷静だった。



「嘘つかないでよ。草野さんからもちゃんと聞いたよ、藍沢さんがやってたって」


「っ!百合ちゃん、が……」


「言っておくけど、草野さんは最後まで藍沢さんを庇ってたよ。"華を泣かせたら許さない"って、忠告されたしね…」


柚月は苦笑しながら藍沢に話した。



「……だから藍沢さんをどうこうしようとは思ってないよ。けど……あそこまで嫌がらせをされて、何も言わず許すほど、私も平和主義者じゃない」


「…………」


「教えて欲しい、なんであんな事をしたか。そして、誓ってほしい。もう二度とあんな事は絶対にしないって、反省して謝って欲しいんだ」



柚月の強い意志の籠った瞳が藍沢を貫く。


昔からなにも変わらない。

優しくて、強い、俺の大好きな柚月だ。