「柚月の……聞いてねぇのか」


「……あん？あー……なんか話し合いしてるらしいな。俺も詳しい内容は知らないけど」


「気にならないのか？」


「気になるけど俺が気にしたってしょうがないだろ」



確かに、こいつの意見に賛同するのは癪だが一理ある。

でも、俺のせいで柚月が嫌な思いをしてるのは耐えられない。



「……柚月の事がどうしても気になんだよ」


「まぁ……お前目線はそうだろうな」


「だから、柚月の後を付けて様子見をしたい」


「はー？やめとけって……お前相手の態度次第では飛び出していきそーじゃん」


「そうだ。だからてめぇも付いてこい。俺が飛び出しそうになったら抑えろ」



俺の言葉に望月は目を丸くさせて眉を八の字にした。


「お前……俺のこと嫌いなんじゃないの？そういうの俺に頼むかね、普通……」


「多々良だとどっちも飛び出しちまうだろうが。それに、この件を知ってるのは多々良以外だとてめぇだけだ。だから嫌いなてめぇが俺を抑えろ」


「はー……バレたら超怒られそ〜……」



う〜ん、としばらく唸っていたが、決心したのか望月はチラリと気まずそうに俺を見た。


「……まぁ俺も夏秋は心配だし、いーよ」


「ならさっさと付いてこい。柚月達を見失う」



望月の首根っこを掴んだまま急ぎ足で柚月の後を付けると、望月は「だからやめろっつってんだろ！」とワーワー喚いた。