冷酷王子は、異世界から来た少女を溺愛する

 「ここから迷いの森に入るよ。
飛んでくるモンスターもいるから、気を付けて。」
「はい。」
 あたし達は、迷いの森の上空に入った。
 すると、人サイズのコウモリみたいなモンスターが何体かあたし達に向かって来た。
 リトラは、それらに威嚇した。
 「リトラ!
危ないっ!!」
 リトラがやられそうになり、あたしはリトラを守りながら、剣を出した。
 「くっ!!
(暴れる気満々のドラゴンを抑えながら戦うの大変なんだよ!)
(マリア、普通に戦ってるけど、怖くないのかな?)
(リトラ、守りながらだし…。)」
 あたしは、バズーカを出した。
 「(バズーカ?!)
(戦う気満々じゃんっ!!)」
 炎舞様も魔法を使って、モンスターと戦っていた。
 大半のモンスターは、バズーカで倒した。
 「マリア。
大丈夫?!」
「はい。」
「リトラは?」
「大丈夫です。」
「良かった。
もう少しで、森を抜けるから!」
「はい。」
「ってか、バズーカもらったの?!」
「はい。
ダメでした?」
「いや、いいんだけど…。
(まさか、バズーカ持ってくるとは…。)」
「(バズーカ、ダメだったのかしら…。)」
「森を抜けたら、火の国だからね。」
「はい。」
 それから、モンスターと戦いながら、迷いの森を抜けた。
 「ここから、火の国になるからね。」
「はい。」
 火の国に入ると、モンスター達は、迷いの森に帰って行った。
 「真ん中の大きな建物が、ぼく達の城だよ。
その手前にある明るい街は、シェリーと言って、火の国のなかで1番大きな街で、何でも揃う上に24時間営業の店も沢山あるんだ。
あとで、行ってみる?」
「はい!!」
「OK!
じゃあ、あとで行こう!!」
「はい。」
 あたし達は、お城の屋上に降りた。
「これが、城。
城の皆、マリアが来ること、楽しみにしていたんだよ。」
「そうなんですか?!」
「そうだよ。
あっ、そうそう、買うものは、遠慮したらダメだよ?
ぼくの資産は、マリアが思っているより、何倍もあるから。」
「はい。」
 ドラゴンから降りると、5人ほどの人が出てきた。
 「バトラーとメイドだよ。
ドラゴンにおやつをあげるのと、ぼく達の迎えさ。」
 バトラーは、炎舞様の言う通り、ドラゴンにおやつをあげた。
 ドラゴンは、おやつをもらうと、飛び立った。
 「どこに行ったんですか?」
「寝床だよ。」
 ドラゴンが寝床に行くと、それまでドラゴンに隠れていた、メイドとバトラーが、お目見えした。
 「おかえりなさいませ!
炎舞様、マリア様。」
「ん。
これから、結婚式の準備をして、マリアとシェリーに行く。
馬車を用意しろ!」
「(結婚式?!)
(夫婦になったんだから当たり前か…。)」
「かしこまりました。」
 バトラー達は、下がった。
「アイル!
アイカ!」
「はいっ!!」
 炎舞様に呼ばれて同時に返事し、現れたのは可愛い双子の女の子。
 「王女のペットルームが出来るまで、リトラをぼくのペットルームに連れて行け。
そのあと、王女を王女の仮の部屋に連れて行ってくれ。
そこで、今日する事を話すから。」
「かしこまりました。」
「マリア、2人について行って。」
「はい。」
「王女様、こちらです。
まずは、リトラ様のお部屋から…。
リトラ様には、国王様がおっしゃられた通り、国王様のペットルームでお過ごしいただきます。
こちらが、国王様のペットルームでございます。
どうぞ、お入り下さい。」
 あたしは、リトラを抱えて、中に入った。
 炎舞様のペットルームには、15個くらい、猫の寝床みたいなのがあって、ミニドラゴンが8匹、個別に鳥籠みたいなとこに入っていた。
 「リトラ。
ここが、お前のお部屋だって。
お部屋ちゃんと作ってあげるからね?」
 リトラは、あたしの手から降り、寝床の置かれた台の下で眠り始めた。
 「アイル、アイカ、これはどう言うこと?
なぜ、リトラは下で寝るの?」
「それは、他のリトの寝床だからです。
リトラ様は、自分の寝床を準備されてないことが、分かっていらっしゃるのです。
リトラ様は、賢い子です。」
「そうなのね…。
早く、リトラの寝床を準備しなくちゃ…。」
「そうですね。
では、お次に王女様の仮のお部屋に参りましょう。」
「分かったわ。」
 あたしは、2人について行った。
 すると、途中で2人が振り向いた。
 「あのっ!!
王女様!!」
「マリア様!!」
「なっ…なに?!」
「どうやって、炎舞様を笑顔にされたんですか?!」
「えっ…?」
「炎舞様、お城でも外でも、笑顔を見せることなく、とても冷たくて有名なんですよ?
それなのに、マリア様の前では、笑顔でお優しくて…。
なにか、特別なことされたんですか?」
「炎舞様ってそんな方だったの?!
初めてお会いした時から、あたしには笑顔だったわ。
優しく声をかけていただいたり…。
何か特別なことしたわけではないわ。」
「そうなんですね…。」
「(そんなに、笑わないのかしら…。)」
 2人は、前を向き、また、歩き出した。
 「こちらが、王女様の仮のお部屋になります。」
 アイカは、部屋の扉を開いた。
 仮の部屋と言えど、王女の部屋ということもあり、お部屋は充分すぎるくらいに広かった。
 「こちらの壁は、一面クローゼットなのね。」
「はい。」
「ステキなお部屋ね。」
「王女様、こちらは、あくまで仮のお部屋ですので、王女様の本当のお部屋はもっと広いですよ。」
「そうなの?」
「はい。
マリア様、お花を生けましょうか?」
「そうね。
お願い。」
 あたしは、桜をアイルに渡した。
 「かしこまりました。」
 そこに、炎舞様が来た。
 「マリア、お待たせ。」
「炎舞様。」
 あたしは、炎舞様に会えて、笑顔になった。
 「(この笑顔、ずるいよなぁ…。)
(益々、好きになる…。)
あー…。
マリア。
今日これからすること話すよ。
まず、ぼく達の結婚式で着る、ウェディングドレスとカクテルドレスを選んで欲しい。
お色直しは、1回以上。
1回以上なら、何回してもいいよ。」
「分かりました。」
「結婚式は明日。」
「あ…明日ですか?!」
「そうだよ。
パレードもするから。」
「パレード?!」
「国のトップの結婚だから、王女様をお披露目しないと…。」
「そうですよね…。」
「うんっ!
じゃあ、ウェディングプランナーを呼んでいるから、紹介するねっ!」
「お初にお目にかかります。
ウェディングプランナーのタグチです。
よろしくお願い致します。」
「こちらこそ、よろしく。」
「では、王女様。
まずは、どんなドレスが着たいですか?
王女様にオススメなのはAラインなのですが…。
いかがでしょう?」
「プリンセスラインも気になるんだけど…。」
「では、その2パターンのみ残しましょう。」
 タグチさんは、2パターン以外のものを下げさせた。
 「王女様、1着1着見て回りましょう。」
「そうね。」
 あたしは、タグチさんと見て回ることにした。
 「王女様、着てみたいドレスをわたしに渡してください。」
「分かったわ。」
 あたしは、着てみたいドレスをタグチさんに渡した。
 選び終えると、タグチさんは、残りを下げさせた。
 「王女様、右からと左からのどちらからお着替えなさいますか?」
「右からにするわ。」
「かしこまりました。」
 あたしは、Aラインドレスから着てみることにした。
 最後のAラインドレスを着ようとした時、タグチさんが、パニエを持ってきた。
 「こちらのAラインドレスは、中にパニエを履きますので、プリンセスラインと、変わらないくらい、ふんわりしたドレスになります。
こちらが、パニエです。」
 あたしは、パニエを履いてみた。
 「ホントに、ふんわりしてるわ。
プリンセスラインみたい。」
「いかがでしょう?」
「うーん…。
良いんだけど、プリンセスラインも着てみたいのよねぇ…。
着てみてもいい?」
「勿論です。」
 あたしは、念願のプリンセスラインを着てみた。
 「うーん…。
これか、Aラインドレスがいいな…。
どっちにしよう…。」
「悩みますよね…。
炎舞様に聞いてみますか?」
「うん。
炎舞様、どっちがいいですか?」
「ぼく?!
そうだな…。
ぼくは、初めのドレスの方が似合ってるって思ったけど…。」
「じゃあ、Aラインのドレスにするわ。」
「マリアが着るのにいいの?」
「はい。
炎舞様と選んだことに大切な意味がありますから。」
「ならいいけど…。」
「ベール、ティアラ、アクセサリー、靴はドレスについていたものでいいですか?」
「どんなものが、ついてるのか見てもいい?」
「はい。
お持ち致します。」
 タグチさんは、すぐに持ってきてくれた。
 「まず、靴からでございます。
こちらは、白のパンプスにビジューのようにダイヤを散りばめたものになります。
バックはリボンが付いていて、長さを調節出来るようになっています。」
「ステキ!!」
「お次は、ティアラとアクセサリーにございます。
こちらも靴と同じく、ダイヤが使われております。」
「ドレスに合って、ステキだわ。」
「最後は、ベールにございます。
こちらは、長めのベールになっており、ベール持ちが大人の方を推奨しております。
以上が、こちらのドレスについているものになります。
お次は、王女様は、何の花が1番好きですか?」
「桜と胡蝶蘭よ。」
「かしこまりました。
では、ブーケは、胡蝶蘭と桜で仕上げさせていただきます。」
「嬉しいっ!」
「お次に、カクテルドレスになります。
王女様。
王女様のお好きなお色をお教えください。」
「パステルカラーとエンジよ。」
「では、パステルカラーの中でお好きなお色は?」
「ピンク、ブルー、パープルよ。」
「かしこまりました。」
 タグチさんは、パステルピンク、パステルブルー、パステルパープルだけを残し、あとは下げた。
 「王女様。
こちらの中からお選びください。」
「分かったわ。」
 あたしは、タグチさんと一緒に周り、ドレスを選んでいった。
 カラードレスは、ピンクとパープルにした。
 「カラードレスにも、ティアラ、アクセサリー、靴がついております。
ご覧になりますか?」
「ええ。
お願い。」
「まず、こちらが、パステルピンクのドレス用の靴になります。
ガラスの靴にビジューが散りばめられたものです。」
「ステキ!!」
「こちらは、セットのアクセサリーになります。
ビジューとパールで可憐な花嫁を演出しているお品です。」
「まぁ、ステキ!!」
「こちらは、パープルのドレスの靴になります。
パープルの靴は、パープルのお色にパールの飾りが散りばめられていて、上品な靴に仕上がっております。
アクセサリーはこちら。
こちらも、パールで上品に仕上げられていて、王女様の上品さがより一層引き立てられるかと…。」
「ステキだわ!!
これにします。」
「かしこまりました。」
「マリアは、決めるの早いね。」
「こう言うものは、悩めば悩むほど決まらないものでございます。」
「そう言うもんなのか?」
「はい。
では、食堂に参らせていただけますか?」
「分かった。
案内しよう。
こちらだ。」
 あたし、タグチさん、あいる、あいかの4人は炎舞様について行った。
 「ここが、食堂だ。」
 アイルが扉を開け、あたし達は、食堂に入った。
 「アイカ、みんなに飲み物を持って来てくれる?」
「かしこまりました。
王女様。」
 あいかは、3人にお茶を持って来た。
 「国王様、王女様、タグチ様。
どうぞ。
お茶です。」
「ありがとう。
アイカ。」
 あたしは、アイカにお礼を言った。
 タグチさんは、分厚い本を出してきた。
 「こちらが、コース料理になります。
まずは、わっちコース。」
「わっちとは…?」
「マリアの世界では和食と呼ばれているものだよ。」
「なるほど…。」
「お次が、わっちとフィランスのコースにでございます。」
「フィランス…?」
「マリアの世界では、フランスと呼ばれているものだよ。」
「なるほど…。」
「最後は、フィランスコースにございます。
どのコースになさいますか?」
「マリアが決めていいよ。」
「いいんですか?」
「うん。
花嫁さんが主役だからね。」
「じゃあ、フィランスコースで。」
「かしこまりました。
では、コースにお入れするお料理を、試食されながら、お決め下さい。」
「試食…?」
 あたしと炎舞様は、声を揃えて言った。
 「はい。
では、お料理をお出し致します。」
 そう言うと、タグチさんは、本に手を翳(かざ)した。
すると、次々にフィランスコースのお料理が出てきた。
 「まずは、前菜でございます。
こちらのお皿から1つお選びください。
1つのお皿に1品以上乗っているものは、1皿と勘定されますので、1品となります。」
「分かったわ。」
 あたしは、炎舞様と相談して、1皿に3品乗っているものにした。
 スープは、春を感じられない国もあるので、春野菜のスープに決めた。
 魚料理は春野菜とタラのアクアパッツアにした。
 お口直しは、ベリーシャーベットに決めた。
 お肉料理は、子羊のソテーフォアグラを乗せてにした。
 デザートは、ウェディングケーキとフルーツの盛り合わせに決めた。
 「お料理は決まりましたので、ウェディングケーキをお考えください。」
「あたし、苺が好きなので、苺を沢山使ったケーキがいいです。」
「王女の言う通りに。」
「かしこまりました。
では、こちらはいかがですか?」
 タグチさんは、ケーキを魔法で見せてくれた。
 「3段より、5段がいいわ。」
「かしこまりました。
では、こんな感じでございましょうか?」
 タグチさんは、5段ケーキを見せてくれた。
 「これがいいわ。
土台は四角いケーキにして。」
「かしこまりました。
こんな感じでいかがでしょうか?」
「これがいいわ。」
「かしこまりました。
引き出物は、いかがなさいますか?」
「絶対に入れて欲しいのが、桜のバームクーヘン。」
「かしこまりました。
それでしたら、ワンホール桜のバームクーヘンをメインに、焼き菓子をセットでお入れいたしましょう。
他のものは、こちらで選ばせていただきましょうか?」
「それがいいわ。」
「かしこまりました。
では、会場のセッティングに参りましょう。
国王様、会場に連れて行っていただけますか?」
「分かった。」
「分かったわ。」
 あたし達は、炎舞様について行って、会場を見た。
 会場は、とても広く驚いた。
 「何名様お呼びになるご予定ですか?」
「3000人だ。」
「(国王様となれば、規模が違うわ…。)
3000名様ですね。
かしこまりました。
では、こちらの会場の飾りはいかがでしょうか?」
「薔薇より桜がいいわ。」
「かしこまりました。
では、こちらはいかがですか?」
「ステキ!!」
「では、こちらで。」
「うん。
あと、会場の入り口に桜のアーチを。」
「かしこまりました。
では、会場のお色ですが、ウェディングドレスの時はピンク、ピンクのカラードレスの時はパープル、パープルの時はホワイトにしてはいかがでしょう?」
「ステキ!!
そうして!!」
「かしこまりました。」
「桜とパステルカラーがマッチしてていいね。
マリアのセンスいいんだね。」
「そうでしょうか…。」
 あたしは、照れた。
 「では、3000名様の名簿をいただけますか?
招待状をお送りいたします。」
「分かった。
ショウタ!!
名簿を持ってこい!!」
「かしこまりました。」
 ショウタは、すぐに名簿を持って来た。
 炎舞様は、それをタグチさんに渡した。
 「お借りいたします。
わたしは、準備に入らせていただきますので、国王様、王女様お気になさらず、ごゆっくりお休みください。」
「頼んだ!
マリア、シェリーに行こうよ!!」
「はい。
(あたしに対する顔と、他の人に対する顔が、全然違うんですけど…。)」
「今、ドレスしかないから、シェリーで買おう!!」
「ありがとうございます。」
「馬車乗り場に行くよ。」
「はい。」
 あたし達は、忙しそうに働くタグチさんを会場に残し、馬車乗り場に行った。
 「国王様、護衛にセッドをお呼び致しました。」
「ん。」
 アイカに「ん。」と言っただけの炎舞様…。
 「(本当に冷たいのね…。)」
 そこに、セッドが来た。
 「国王様、お呼びでしょうか?」
「これから、マリアとシェリーに行く。
護衛せよ。」
「はっ!!」
 あたし達3人は、馬車に乗り、シェリーに向かった。
 「シェリーには、すぐに着くよ。
城の真上くらいにある街だから。」
「はい。
分かりました。」
 炎舞様の言う通り、すぐに着いた。