真白に昔のことを教えていくうちに、俺が真白を好きになったきっかけとなる写真が出てきた。
「懐かしいなぁ……もうこのときから十年も経ったのか……」
十年前の夏祭り。迷子になってしまった真白を探して右往左往し、小高い丘まで来た俺は、疲れ果てて座り込んでいた。
そんなとき、ひょいと隣に現れたのは真白。どんなに探してもいなかったのに、こんなに簡単に見つかると思っていなかった俺は、思わずため息をこぼした。
それを見て真白は、晴兄が疲れてるとこ初めて見た、と言って笑った。
俺は人に頼られることが多く、ずっと張り付けたような笑みを浮かべながら生きていた。それが真白には感じ取れたのかもしれない。
まだ幼いけれど、俺のことに気付いてくれた真白がなぜかとても愛おしくて、ずっと一緒にいたいと思った。
「真白……はやく戻ってきてよ」
気付けば、そんなことを呟いていた。