一人の先輩に腕をつかまれた。私の力じゃとても振り切れない。

やだ、こわい……助けて……っ!



「俺こういう高校生嫌いなんだよねー、自分勝手に女の子傷つける奴」



その瞬間、時が止まったように思えた。

小さい頃絵本で見た’白馬の王子さま’。まさにそんな人だった。



「は?なんだよお前、邪魔すんなよ!」

「邪魔なのは君らだよ、気付いてないの?」



私を助けてくれたその人に向かって先輩たちが殴り掛かろうとする。6対1はさすがに勝てないんじゃないのかな……。

そんな不安を抱く暇もないほど速かった。

6人全員をかわし、私を連れて美術室から出て行った。



「ふぅー、ああいう奴らと一緒の学校なんて、君も妹も弟も災難だね」

「あの、ほんとにありがとうございました!あと、妹と弟って……?」

「ああ、俺4人兄妹の次男なんだ、2年の悠雅と1年の真白の兄だよ」

「えぇぇ!?」



真白ちゃんのお兄さん!!?

何度か話で聞いたことはあったけど、こんなにかっこいい人だとは思わなかった。