恋に落ちたのは、授業参観があった日のこと。前の授業で忘れ物をして美術室に取りに行った私は、なかなかその中に入れず困っていた。

なぜなら、美術室は三年の男子の集団が溜まり場にしていたから。

それでも他の人の家族の前で授業に必要な道具がないなんて失態をさらしたくないし、勇気を出して話しかけてみた。



「あの、すみません……忘れ物しちゃって、取らせてほしいんですけど……」

「え、めっちゃかわいいじゃん!一年生?彼氏いる?」

「お前初対面でそれ聞くかよ!」



私の問いかけにこたえてくれる人はおらず、ただ笑いのネタにされるだけ。

耐えきれなくなった私が机の上にある自分のペンケースを取ろうとしたとき。



「あれ、かわいこちゃん忘れ物取りに来ただけでしょ?ペンケース見つかったことだし俺たちの相手してってよ!」

「え、あの……私は……」

「次の授業一緒にサボっちゃおうよ、いいことしてあげるからさ?」



私はペンケース取りに来ただけなのに………