「ただいま……」



……あれ、晴兄いない?

机の上にメモが置いてあった。



『大学の友達と飲みに行くことになったので遅くなります、ご飯ちゃんと食べるんだよ!』

「晴兄は超善人だよなぁ……」



ついそんな言葉がこぼれた。

晴兄は昔から、どんな人にも優しく親切に接してきた。それにより強引に遊びなどに誘われることもあったが、結局は楽しんで帰ってくるタイプの人間だった。

でも悠雅は…………。



「あーだめだ、いったん休んだ方がいいかも」



部屋でちょっと寝よう。今は悠雅のことは考えたくない。

私は記憶を整理するという目的もあり、眠りについた。

ーーーそして日付が変わった頃。



「ん……あれ?私どれくらい寝てたんだろ……」



目が覚めたとき、外は真っ暗だった。時計を見ると、午前一時をまわっている。

……もしかしたら晴兄帰ってきたかな?

癒しをもらおうとリビングへ向かう。

そこにいたのは、完全に酔って机に突っ伏している晴兄だった。



「ねぇ晴兄ー、ここで寝たら風邪ひくよー?」