昭和二十X年。 旅に出たきりで帰って来ない叔父の部屋を片付けるのは、美咲にとってちょっとした事件だった。 三年前から和樹叔父の行方が知れない。 でもだからと言って形見分けなんて、些か気が早過ぎる。冷酷過ぎる、と美咲は思う。 一つも納得できない。 美咲は和樹叔父がまだ生きていると信じているのだから。