惑わし総長の甘美な香りに溺れて

「んっ、陽っ!?」

「こないだ言ったろ? こうすると、モモの匂いが強くなるって」

「ひゃうっ!」


 言葉の後に今度は柔らかい湿ったものが首筋を撫でた。

 舐められたと思ったときには、肩を押されて私の背中はベッドについてしまう。

 倒されたことで離れた陽の顔は、情欲に満ちていた。

 私を見下ろす目が獲物を狙う獣の目になっていて、私は反射的にゾクリと身を震わせる。


「モモ……」


 低い声で切なげに私を呼ぶと、陽は自分の制服の首元を緩めた。

 同じ手で私の首元を緩めようとする陽に、私は一つ問い掛ける。


「陽……もしかして、最初からこういうつもりでここに連れ込んだの?」


 人の目がないところでしなきゃならない話題を出したのは私だ。

 でも、この場所を選んだのは陽。

 元々は帰るつもりだったと思うけど、話をする場所をここに決めた時点でそういうつもりだったのかな?

 それで嫌いになることはないけれど……ちょっと、モヤッとする。

 でも、陽はばつが悪そうな顔をしながらも否定した。


「いや、初めは本当に話をするだけのつもりだったんだけど……やっぱこの部屋入ったらこないだのこと思い出しちゃってさ。ムラムラしてきたって言うか」

「なっ!?」


 カァッと顔に熱が集まる。

 私自身思い出しちゃったから人のことは言えないけれど、それで本当にその流れにするとか。

 ちょっとどうなんだろう? って思っていたけれど、陽は真剣な目をして「それに」と続けた。