惑わし総長の甘美な香りに溺れて

「モモってさ、ホント良い匂いだよな?」

「へ? な、なに?」


 なんで今私の匂いの話になるの?

 疑問に思っている間にも、陽は私との距離を縮めてくる。


「なんで俺がこんなにモモの匂い嗅ぎたいのかわかる?」

「わ、わかんないよ」


 良い匂いだから嗅ぎたいって言われてたけれど、それだけの理由で本当に人の匂い嗅ぐとか普通しないと思うし。

 でもそれ以外の理由なんて陽本人にしかわからないし、私は聞いたことない。

 心の中でわからない理由を並べ立てていると、陽の片手が私の肩に置かれた。

 そのまま陽の顔が首筋に近づいて、陽はスゥッといつものように私の匂いを嗅ぐ。


「ホント、良い匂い……どこかで嗅いだことのある匂い」

「え?」

「記憶に無いけどさ、モモの匂い嗅いだことがある気がするんだ」

「そう、なの?」


 そんなこと、初めて聞いた。


「だから、モモの匂い嗅ぐと思い出せそうなんだ」

「それでいつも私の匂いを嗅いでいたの?」


 吐息が首筋にかかって、くすぐったいのを我慢しながら聞き返す。


「ん、そう」


 頷いた陽の金の髪が頬に当たって、ムズムズする。

 そんな私の首筋に、陽はそのままチュッとリップ音を立ててキスをした。