惑わし総長の甘美な香りに溺れて

「この間ここでモモの髪見て、すぐに俺たちが探してる薔薇姫だって気づいた。でもモモが、啼勾会にとって重要なものを持ってるとは思えなかったし……」


 グッと眉を寄せ、陽は「何より」と続けた。


「甲野が薔薇姫を探す理由なんて碌なものじゃないに決まってる。あいつなんかにモモを渡せるかよ」

「陽……」


 やっぱり、陽は私を守ろうとしてくれてたってことだよね?

 だから、黙っててくれたし周りにもバレないように外でウィッグ外さないようにって言ったんだ。

 私が本当に啼勾会が探している薔薇姫なのかはわからない。

 でも、その可能性は高いんだと思う。

 そのことに不安はあるけれど、今は陽の気持ちが嬉しかった。


「……俺の記憶が戻ればさ、薔薇姫のことも色々わかると思うんだ」


 嬉しさに胸をいっぱいにさせていると、陽がどこか妖しい雰囲気を纏わせて私を見る。


「は、陽?」


 ベッドに手をついて、ジリジリと近づいてくる様子もなんだかおかしい。

 妖艶な笑みに、嬉しさでいっぱいだった胸が弾けるようにドキドキと鼓動を打った。