惑わし総長の甘美な香りに溺れて

「な、なに?」

「いや……うん、俺もただの独占欲だと思ってたんだけどな。モモとつき合えてから、なんかすげぇ嬉しいんだ」

「嬉しい?」

「モモが俺の彼女になってる。周りにバレないようにって制限はあるけどさ、いつキスしても良い権利、モモがOKすればその先もしていい権利があるってのが嬉しい……嬉しくて、大事にしたいって気持ちが沸いてきた」

「っ!」


 照れもせず、真っ直ぐ私を見て発せられた言葉の数々はこっちが恥ずかしくなるほどのもので……。

 ドキドキドキドキと鼓動が早まる。


「だから、嫌われたかもって思ったら怖くなったんだ」


 陽の長い指が私の頬に触れた。

 真剣な目が私に真っ直ぐ向けられて、目が離せない。

 陽のキレイな顔が近づいて、それと比例して私の瞼がゆっくり閉じられた。

 ふわりと香る薔薇と共に触れた唇は、今までで一番優しくて、甘い。

 内側から沸いてくる温かな感情が、幸福だと気づいた。


 ああ……やっぱり私、陽が好きなんだな。


 良い匂いだって言って、好意を向けてくれてる陽がかわいかった。

 危険な陽は怖いけれど、怖いと思うのと同じくらいキレイで惹かれた。

 恋愛感情なのかわからないって思っていたけれど、とっくに好きだったんだ。