ガチャッと音を立てて部屋のドアが開いた。


「悪いモモ、待たせた」

「陽……」


 最後に見たときとは真逆のかわいい陽が部屋に入ってきて、私はホッと緊張を緩めた。

 笙さんは一通り話をすると私にこのままここで待っていろと言い残していなくなってしまった。


 ……不審には、思われなかったよね?


 桃色の髪の女――薔薇姫を探していると言った笙さん。

 去り際の笙さんの様子を思えば、ちゃんと誤魔化せたと思う。

 桃色の髪の女。

 それって、もしかして私のこと? って思った。

 珍しい髪色だし、実際周りで私と同じ髪色の人を見たことは無い。

 その薔薇姫って人は染めていて、私とはまったく関係ない人だってこともあり得るけれど、私だっていう可能性はかなり高い。


 でも、私かもしれないとは言えなかった。

 ずっと隠していたことを信用出来るかどうかもまだ分からない相手に言うきになんてなれなかったし。

 それに笙さんは薔薇姫が啼勾会にとって重要なものを持ってるって言っていた。

 それがなんなのかは分からないけれど、嫌な予感がした。