惑わし総長の甘美な香りに溺れて

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「えっと……こっちの方に来たってことは、陽の“やること”関連につき合って欲しいってことかな?」


 陽と話がしたいと思っていた私は、彼の誘いを二つ返事で受け入れた。

 ただ、それで向かった場所は南香街の立ち入り禁止区域で……。


「ああ……。最近な、こないだモモを襲った不良連中がどうやってNを手に入れたか調べてたんだ」


 危ないからって手を引かれながら、私は陽の説明を聞く。

 人気のない街を二人並んで進み、前回来たホテルの前も通り過ぎた。


「ある程度目星はつけてたんだけどさ、久斗が今日SudRosaのメンバーから貰ったらしいって情報くれただろ? あれでハッキリした」

「えっと、Nをあの不良達に渡してた人が分かったってこと?」


 明確な言葉がなかったから聞き返したら、陽は「ああ」と頷く。


「SudRosaの下っ端の一部だったみたいだ。だから今日はそいつらシメるためにメンバー招集したんだ」


 口調はいつもの明るい陽だけれど、目は昏くて少し怒っているようにも見えた。

 思わず緊張してつばを飲み込むと、陽はパッと明るい笑顔を見せてとんでもないことを言う。


「で、せっかくメンバー招集したから、ついでにモモのお披露目しようかなと思ってさ」

「は? お披露目?」


 お披露目って……なに?


「こないだみたいにモモが危険な目に遭わないよう、みんなに俺の彼女だってショーカイすんの」


 軽い調子で説明してくれるけれど、なんでSudRosaとかいう正体不明のチームに私が紹介されなきゃいけないの?