惑わし総長の甘美な香りに溺れて

「イヤじゃ、無いけど……」

「じゃ、良いよな?」

「んっ」


 かわいさに絆されて陽の言葉を否定した途端、悪い笑みを浮かべた彼にまた口を塞がれた。

 かわいくて人なつっこい陽と、危険で悪い雰囲気の陽に早くも翻弄されてしまってる。

 でも、かわいくても危険でも、舌を絡めてくるキスは優しくて……。


「萌々香……」

「っ!」


 名前をちゃんと呼んで、私を求めてくれるのは嬉しくて……。


「は、る……んっ」


 私の呼びかけに、応えるようにキスしてくれて……。

 どんどん、陽という沼にハマっていってる。

 陽に向ける思いが恋愛感情なのか確かめるためのおつき合いのはずなのに、気持ちを確かめる余裕もなく落ちていく。

 ……こんなんで、いいのかな?

 そんな疑問も、陽の熱い唇に解かされてしまった。


***


 そうして迎えた月曜日。


「ホント、藤沼には感謝だよ。ありがとな!」


 登校して朝一番に加藤くんからお礼を言われた。

 すっかりNの効果もなくなった加藤くんは、ピッタリと景子にくっつきながら笑顔を見せてくれる。


「いいよ。これからはちゃんと景子を大事にしてくれるなら」

「そりゃあモチロン! 景子は俺の大事な彼女だからな」


 ハッキリ宣言した加藤くんはそのまま景子と見つめ合った。

 土日のうちに二人は最近のことを話し合い、結果として前より仲良くなったらしい。