惑わし総長の甘美な香りに溺れて

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土日、私はゆっくり休んでいたんだけど、陽はどこかに出かけていた。

南香街に行ってるんじゃないかな? って思っているけれど、両親の前で南香街の話なんて出来ないし……。

両親に気取られず二人きりになれる時間は夜に少しだけ。

その時間も、前からしていた一日一回の匂いを嗅がれる時間になっているんだけど……。


「んっ、はる……ちょ、まって」

「ん? なに?」


 吸い付いてくる唇を止めると、首筋に顔を埋めて匂いを嗅ぎ始める陽。

 吐息と、柔らかい金の髪が頬をかすめてくすぐったい。


「匂い嗅ぐのは……恥ずかしいけど、まあ良いとするよ? でも一緒にキスするのはなんで?」


 いまだに匂いを嗅がれるのは恥ずかしい。

 でもそれに関しては良いよって言っちゃったから仕方ない。

 けど、キスは良いなんて言ってないはずだ。


「恋人なんだから良いじゃん。ただでさえヒミツだから他のヤツがいる前じゃあ出来ねぇのに……モモは俺とキスするのイヤ?」

「うっ」


 眉尻を下げて、目を潤ませる陽はかわいい。

 南香街での危険な陽は舌を出せとか命令してきたのに、家での陽はいつものようにかわいくて……。