かわいい顔立ちをした黒髪の男の子。

 小学生くらいに見えたけれど、実際のところ何歳なのかは知らない。

 名前も知らないから、今どうしているのかも調べようがない。

 あの子も南香街の――Nの関係者だったのかな?

 そう考えるとこの青紫の液体も危険なものかもしれないって思う。


「……でも、必死だった」


 私にこれを預かって欲しいと言っていた男の子はどこまでも必死で、真剣な目をしてた。

 あんな子が危険なものをたまたま居合わせた私に預けるかな?

 ……分からない。

 けれど、私は一度しか会ったことのないあの子を信じたいと思った。


 もしかしたら、陽ならこの青紫の液体が何なのかわかるかもしれない。

 くわしいことは聞きそびれたけれど、南香街で陽は一目置かれている存在みたいだったし。

 南香街を管理しているSudRosa、だっけ?

 Nのことも知っていたみたいだし、きっと陽は南香街でのことについてくわしいんだと思う。


「……もう少し陽のことを知ってから、聞いてみようかな?」


 陽のことも信じてはいるが、知らないことが多すぎる。

 もう少し知ってから相談してみよう。そう思って青紫の液体が入った箱を元の場所に戻した。