惑わし総長の甘美な香りに溺れて

「義姉弟ってところを気にするなら、ひとまずは周りにはヒミツでってことでもいいからさ。……つき合わない?」

「……うん、いいよ」


 とりあえずは周りにヒミツで、この感情が恋愛感情なのか確かめるためのおつき合い。

 私自身、陽への気持ちがなんなのか気になっていることもあったから、少しだけ迷って陽の提案を受け入れた。


「良かった。……じゃあ、仕切り直して」

「へ?」


 頷いた私にニコッと笑った陽は、一度離れた顔をまた近づけてくる。

 今度はさっきみたいにゆっくりではなくて、スッと自然な仕草だったから目を閉じる暇もなかった。


 チュッ


 と、軽いリップ音を鳴らして陽の唇が私のそれに触れる。

 そのまま少し離れた顔は、イタズラっ子のようなものにも、悪いコトをしようとしてる男のものにも見えた。


「私の、ファーストキス……」


 陽にならされてもいいかなって思っていたけれど、こんな不意打ちみたいにされるとは思わなかった。

 というか、さっきまでは唇へのキスなんてしなかったのに……なんで今。


「ああ、やっぱりはじめてだったんだ? 良かった、はじめてならちゃんと恋人とした方がいいもんな?」

「え? えっと、つまり……あんなことしても唇にキスしなかったのは恋人じゃなかったからってこと?」


 さっきまであった疑問の答えみたいだったから確認してみると、「そ」と軽く肯定された。