惑わし総長の甘美な香りに溺れて

「モモがしたいって思ってくれねーと意味ないの。俺に溺れて、溶けきったかわいいモモが見たいんだからな」

「なっ!?」


 あまりに恥ずかしいことを言うものだから、私は金魚のように口をパクパクすることしか出来ない。

 言葉が出ない私に、陽は「だからさ」と一つ提案してきた。


「俺たち、つき合わない?」

「……へ?」


 つき合うって、どこに?

 あ、男女のお付き合いってこと?


 すぐに浮かんだ疑問にはさすがに自分で答えを見つける。


「でも、義理とはいえ姉弟なのに……」


 良くないんじゃあ……と答えた私に、陽は一瞬キョトンとしてからフッと小さく笑う。


「つき合えないとかじゃなくて、義姉弟は良くないって返しになるんだ?」

「え?」

「それってつまり、俺と恋人同士になること自体は嫌じゃないってことなんだよな?」

「あ……っ!」


 指摘されて、陽の言う通りだってことに気づく。

 これじゃあほとんどOKしてるようなものじゃない!?

 カァ、と赤くなる私を陽はからかうようなニヤニヤ笑いで見てくるから尚更恥ずかしくなる。

 恥ずかしすぎて、なんだか悔しくなった私は逆に陽へ質問した。


「は、陽こそどうなの? 義姉弟なのにそんな簡単につき合うとか……大体にして、陽は私のこと好きなの?」


 つき合うという単語につい振り回されちゃったけれど、まずは好きかどうかだろう。

 まあ、嫌われてはいないと思うけれど。