シーツの中でしばらく考えていたけれど、どっちが本当の陽なのかなんて分かるわけがなかった。

 考えても仕方ない。

 とりあえず南香街から出て帰らないと、と考え直しシーツから出て上半身を起こしたときだった。


「え、あれ? 髪がっ!?」


 起き上がり、サラリと流れ落ちたのは桃色の髪。

 ウィッグの黒ではなかった。


「いつ取れたの? そんな、まさか陽に見られた?」


 陽にはいつか話そうとは思っていたけれど、信頼出来るまでは秘密にしておきたかった。

 明るい陽とキケンな陽。どちらが本当の陽なのかも分からない状態じゃあ信頼して良いのかも分からない。

 不良達から助けてくれたし、最後まではしないという言葉通り触れるだけだった。

 そういう意味では信頼出来るけれど、ずっと隠してきた髪の色を知られても大丈夫なのかはまた別の話で……。

 どうしよう、と焦りを募らせているとドアの開く音がした。


 ガチャッ


「っ!」

「ん? モモ、起きたんだ?」


 入ってきた陽は意識を失う前の姿のまま。

 ジャケットを脱いだ状態で、首元もまだ緩められていた。

 こちらを見る目はいつもの明るくかわいい陽で、私は本気でどう対応すれば良いのかわからない。


「ったく、その髪本当に驚いたんだからな? ストロベリーブロンドっていうんだっけ? ウィッグで隠してるってことは地毛なんだろ?」


 近づいてくる陽はいつも通り人なつっこく私に質問してくる。