惑わし総長の甘美な香りに溺れて

「だとしたら潰しておかなきゃな。バレたらマズいから口止めしておけって言われてるんだよなぁ?」

「そうそう。いくらSudRosaの人間でも一人じゃ大したこと出来ねぇだろ。さっさと片付けるぞ」


 不良たちは私の腕を離し、陽を取り囲むように近づく。

 また地面にへたり込んだ私は、陽を見上げながら後悔していた。

 助けて欲しいとは思ったけれど、それはこういう状況になるって意味でもあったんだ。

 三対一なんて、陽がボコボコにされるに決まってる。

 ダメだ……陽、逃げて!


「バレたらマズい、ね……」

「せめて二、三人で来るんだったな!」


 私の心の叫びは届くはずもなく、健太の拳が振り上げられた。


「っ!」


 思わず目を閉じる。

 でも、殴る音も、殴られて呻く陽の声も聞こえない。

 ゆるゆると目を開けて状況を確認すると、振り下ろされた拳を余裕の表情でつかみ止めている陽がいた。


「二、三人? 何言ってんの? お前ら程度なら俺一人で十分だっての」

「なっ!?」


 攻撃を止められて驚く不良たちは、陽の言葉に気色ばむ。

 怒りに火がついたみたいだ。


「っざけんなよ!?」

「舐めすぎなんだよ!?」


 怒りで荒くなる声は聞いただけでも恐ろしくて、やっぱり勝てるわけないよって思う。

 逃げて!って思ったのに……。