「陽、その顔ずるい……」

「何がずるいんだ? 俺、一日一回だけモモにぎゅーしたいって言ってるだけだぜ? ちゃんと家でだけにするからさ」


 冷静に考えれば十七歳の男子が恋人でもない同級生にぎゅーしたいなんて、口にすること自体おかしいってわかる。

 わかるんだけど、陽のかわいさを前にすると……。


「な? いいだろ?」

「くっ……わかっ、た」


 なぜか拒否出来なくなっちゃうんだよね。

 ううぅ……一応私の方が姉なのに、いっつも負けちゃうよ。


「よっしゃ! 良いって聞いたからな!」

「ひゃっ⁉」


 私が渋々頷くと、陽が喜びのままにまた抱きついてきた。


「い、一日一回じゃなかったの⁉」

「これは喜びのハグだからいーの」


 今度はすぐに離してくれたけれど、全く悪びれない陽に「もう!」と怒りたくなる。

 でも嬉しそうで太陽みたいな陽の笑顔を見ると怒れないんだよね。

 私、陽に甘いんだろうなぁ……。

 結局強く出られない私は諦めるしかなかった。