バカな奴らを伸して、俺はモモのところに向かう。

 今にも泣きそうな顔しちゃって、俺がこの程度の奴らにやられるわけねぇじゃん。

 でも、モモに心配されるのは悪くないな。


「こんなのたいしたことないから。てか来なくても大丈夫だってのに」


 心配する必要ないって伝えたら、取り出したハンカチで傷口を強く巻かれた。


「うっ」


 思わず痛みに呻いたら「でも、心配だよ」と呟かれる。

 そんなモモがなんかすごいかわいくて……。

 だから俺は素直に謝った。


「ん、悪ぃ。心配かけて」


 そしたらハンカチを結び終わったモモが傷部分を押さえるように俺の手を包む。

 なにをしてるのかと思ったら、目を閉じて祈るように呟いた。


「早く治りますように」


 ドクンッ

 あ、れ? なんだ、これ?

 俺の傷が早く治るように願うモモの姿が、桃色の髪の女の子の姿とかぶった。

 桃色の髪ならモモだ。

 記憶の女の子の顔も、モモの顔だし。

 ……いや、違う。

 記憶の中のモモは、もうちょっと幼い顔をしてる。