惑わし総長の甘美な香りに溺れて

 とにかく早く見つけなきゃ!

 そうして、校舎裏にさしかかったところで陽たちを見つけた。

 校舎の角のところから覗くと、丁度こちらに背を向けている陽を不良たちが囲んでいるのが見える。


「テメェのせいで散々な目に遭ったぜ」

「もうSudRosaに関わるつもりはねぇけどよぉ……少しはやり返さねぇと気が済まねぇんだわ」


 あからさまに敵意を出して、不良たちは陽を睨み付けている。

 陽の顔は見えないけれど、少なくとも怯えているようにはまったく見えない。……当然かもしれないけれど。


「なに? またぶちのめされてぇの?」


 案の定、不良たちを嘲笑う陽の声が聞こえた。


「そう簡単にいくか? 学校じゃあ人気者気取ってんだろ? いくらここが人気が無い場所でも、近くを誰も通らねぇってワケじゃねぇ」

「ケンカなんかしてるとこ見られたら困るんじゃねぇの?」

「……」


 不良たちの言葉が事実なのかどうかはわからないけれど、陽は何も答えなかった。

 でも実際ケンカしてるところなんて見られたら停学とかなっちゃうんじゃないかな?

 それに、陽が無傷で勝っちゃったら下手すると陽の方が悪者になっちゃうかもしれない。

 そういう意味では不良たちの言う通りだった。