そんな私に美乃梨ちゃんはくやしそうに顔をゆがませる。
 何か言いたそうに口を開いたけれど、結局言わずに後ろを向いて走って行ってしまった。

「え? み、美乃梨?」
「ちょっと待ってよー!」

 友だちたちも美乃梨ちゃんを追いかけて行ってしまって、私と玲衣くんが残される。

「……莉緒、カッコ良かったな」
「え?」

「最後にしっかり宣言してだまらせただろ? なんかスカッとした」
「そ、それを言ったら玲衣くんの方がカッコ良かったよ? あの子たちを淡々(たんたん)と言い負かして」
「そっか? まあ、莉緒を守れたんならいいや」

 優しい笑顔で見下ろしてくる玲衣くんにトクンと心臓がはねた。
 玲衣くんは私を(いや)してくれるお薬で、守ってくれるナイトでもあったみたい。
 なんだかもっと好きになったみたいにドキドキと胸が高鳴るのをおさえられない。

「じゃあ、行こうか」

 そう言った玲衣くんは、つかんでいた私の手を引いて歩き出した。

「う、うん」

 つながれた手を今さらながら意識する。
 剣道もやっててかたくなった玲衣くんの男の子の手に、どうしようもなくドキドキした。