「でも、何もしなきゃ成長出来ないと思うから……だから応募するよ!」
「っ!」

 美乃梨ちゃんはこわかったけれど、私は負けないように真っ直ぐ彼女の目を見る。

 自分で決めたことだもん。人に言われたからって曲げたくない。
 紗香と玲衣くんからの応援(おうえん)もあるけれど、それ以前に私は恋愛小説が好き。
 好きだから、書きたいって思った。
 好きだから、上手くなりたいって思った。
 玲衣くんに手伝ってもらいながら三作目まで書いて、その気持ちはもっと強くなってる。

 はじめて書いた作品をバカにされて、書きたいって気持ちを無くそうとしたあの(ころ)とはちがうんだ。

「ふん! どうせ最終選考にだって残るわけないんだから!」

 捨て台詞のように言いはなった美乃梨ちゃんは、友だちに「行こ」と告げてはなれて行く。

「やるじゃん、莉緒。スカッとした!」
「そうかな?」

 晴れ晴れとした様子で笑う紗香につられて、私も照れるように笑顔をうかべた。