陽も(しず)みかかっている夕空。
 青空があざやかさを無くしていくのと同じように、私の気持ちも色を失ってしまったみたい。

「私、もう書かない方がいいのかな……」

 帰り道を歩いている間ずっと考えてた。
 学校でみんなに言われた言葉がグルグルって頭の中を何度もめぐってる。

『莉緒ちゃんの小説って本当に意味が分からないんだもん。書くの止めた方がいいよ』

 とくに美乃梨ちゃんの言葉が一番つき()さってる。

 何作品も書いていて、『ラブベリー』のサイトランキングにも毎回()ってて……。
 フォローしてくれている人も今は数百人いるって聞いた。
 そんな子に止めた方がいいって言われちゃったら、そうなのかな?って思っちゃう。

 家について門扉(もんぴ)に手をかけて(だま)りこむ。

 私、どうして書きたいって思ったんだっけ?
 はじめて書いた今回の小説。
 恋愛小説が好きで、ずっと読んでばかりだった。
 美乃梨ちゃんの小説や、他の人気作家さんの小説を読んですっごくドキドキして……。

「そうだ、だから私も……誰かがドキドキしちゃうお話を書いてみたいって思ったんだ」

 書き始めた理由を思い出して、あのときのドキドキが少し戻ってくる。
 でも、すぐに今の太陽と同じように気持ちが(しず)んでいく。