「えー? 莉緒ちゃん程度の実力で? うそでしょ?」
「やめてほしいよね。コンテスト自体の質も下がっちゃうんじゃない?」

 クスクスってあからさまにバカにした態度に、私よりも紗香が怒りだした。

「ちょっと! いつも思ってたけどあんたたちひどくない?」
「えー? なにがー?」
「本当のこと言ってるだけなんだけど」
「このっ!」

 悪びれない彼女たちに紗香が本気でキレそうになる。

「さ、紗香? 私は大丈夫だから――」
「莉緒ちゃん」

 紗香を止めようとあわてて声を上げたけれど、その言葉をさえぎるように美乃梨ちゃんが私を呼んだ。
 とてもこわい目で私をにらんでいる。

「本気で応募するつもり? 書くのやめた方がいいよって忠告してあげたのに……私の忠告も聞かないで書き続けてるし」
「美乃梨ちゃん?」
「たいして読まれもしないのに……莉緒ちゃんの小説が賞なんて取れるわけないじゃない」
「そ、それはそうかもだけど……」

 人気作家の美乃梨ちゃんに言われたらやっぱりそうだよねって思ってしまう。
 でも、紗香に背中を押してもらった。
 玲衣くんにも頑張るって言った。
 受賞なんて出来なくても、チャレンジするって決めたんだもん。